免責事項:本記事は一般的な情報を提供するものであり、将来の運用成果や元本の返還を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。
元本割れとは、投資商品の時価や返還見込額が当初の投資額を下回る状態を指して使われることがあります。最終的に戻る金額が投資額を下回る場合も、同様に呼ばれます。
例えば、10万円を出資し、最終的に返還された元本相当額が8万円だった場合、差額の2万円が元本割れにあたります。
数字の大きさではなく、「時価や返還見込額、または戻る額が投資額を下回った」という関係がポイントです。
本記事では、元本割れの意味、含み損・実現損との違い、主な原因、預金との違い、貸付型ファンドで起こり得る場面を整理します。
元本割れとは
元本とは、投資や出資に充てた元の資金を指します。利息や分配金を足す前の、出発点となる金額です。
投資対象の価格が下がった場合や、事業・返済が計画どおり進まなかった場合などに、時価や返還見込額が投資額を下回ることがあります。
投資商品の時価や返還見込額が当初の投資額を下回る状態を、元本割れと呼ぶ場合があります。売却前の価格下落は「含み損」、売却・償還等によって損失が確定した場合は「実現損」として区別されます。
含み損と実現損は、見た目の数字が似ていても、状態が違います。前者はまだ売却していない段階、後者は損失が確定した段階です。元本割れという表現は、後者に限らず、時価や返還見込額が下回っている状態でも用いられることがあります。売っていないから元本割れと呼ばない、という整理ではありません。
日々の市場価格が表示されない商品でも、元本割れが起こらないとは限りません。価値の変化が、運用終了時や返済状況の変化、契約上の通知として後から表面化することがあります。価格が見えないことは、元本が守られていることではありません。
元本割れが起こる主な原因
| 主な原因 | 内容 |
| 市場価格の下落 | 株式、債券、投資信託等の価格が購入時より下がる |
| 信用状況の悪化 | 発行体や借り手の返済能力が低下する |
| 事業計画の未達 | 事業収益や回収額が想定を下回る |
| 為替変動 | 外貨建て資産の円換算額が減少する |
| 費用の影響 | 手数料等を差し引いた結果、実質的な受取額が投資額を下回ることがある |
| 国・制度の変化 | 政治、経済、規制等が事業や回収に影響する |
どの原因が関係するかは、商品の仕組みによって異なります。株式では市場価格、債券では金利や発行体の信用、事業に関係する商品では計画の達成度、外貨建てでは為替、というように、視点が違います。
複数の原因が同時に働くこともあります。たとえば海外の事業では、借り手の信用と、現地の制度変化と、円換算の為替が重なる場合があります。原因を一つに決めつけず、返還額が何に依存しているかを書面で確認します。
費用の影響は見落とされやすいです。表示上の成果がプラスに見えても、手数料等を差し引いた結果、実質的な受取額が投資額を下回ることがあります。費用による目減りは、必ずしもすべての文脈で元本割れと呼ばれるわけではありません。表示と、費用控除後の着金は分けて確認します。
預金との違い
一定の要件を満たす預金には、預金保険制度の対象となるものがあります。対象となる範囲や上限は制度で決まっており、すべての預金が無制限に保護されるわけではありません。
一方、投資商品は一般に預金保険制度の対象ではなく、運用結果によって元本が減少する可能性があります。
これは、預金と投資のどちらが優れているかという話ではありません。日常の支払いに使う資金、急な支出に備える資金、長期的な運用に回す資金では、求められる性質が異なります。
元本の安定性やすぐ引き出せることを優先する資金と、運用成果によって変動する資金を混ぜると、損失が出たときに生活への影響が大きくなります。預金との構造差は、関連記事で整理しています。
関連記事:預金以外の資産形成とは?預金との違いと貸付型ファンドの位置づけ
貸付型ファンドで元本割れが起こり得る場面
貸付型ファンドでは、借り手の返済状況や貸付事業の結果が、分配や出資金返還の前提になります。出資者は借り手へ直接貸し付ける立場ではなく、ファンドの契約を通じて事業に参加します。それでも、返済と回収が滞れば、出資者側の受取に影響します。
例えば、次のような場合に元本割れが生じる可能性があります。
· 借り手の返済が遅れる
· 借り手が債務を履行できなくなる
· 回収額が当初の想定を下回る
· 貸付事業の計画が変更される
· 海外事業の環境変化が返済に影響する
担保や保証がある場合でも、元本が必ず戻ることを意味しません。保全の内容と、実際に回収できる額は別です。開示資料の読み方は、関連記事で整理しています。
関連記事:貸付型ファンドのリスク開示とは?出資前の確認ポイント
投資商品では、元本相当額が戻ることが保証されているわけではありません。預金と同じ前提で資金の使い道を決めると、損失が出たときの影響が大きくなります。
海外が関係する場合、現地の事業悪化、円換算した為替、情報が届くまでの時間差があります。返還の前提を書面で確認しておく必要があります。
表示上の成果がプラスに見えても、手数料等を差し引いた結果、実質的な受取額が投資額を下回ることがあります。表示と着金は分けて確認します。
開示資料を読む目的は、何が時価や返還額に影響するかを把握することです。
よくある質問
元本割れとは何ですか?
投資商品の時価や返還見込額、または最終的に戻る金額が、当初の投資額を下回る状態を指して使われることがあります。
含み損と元本割れは同じですか?
同じではありません。売却前の価格下落は含み損、売却・償還等で損失が確定した場合は実現損として区別されます。時価や返還見込額が投資額を下回る状態を、元本割れと呼ぶ場合があります。
貸付型ファンドでも元本割れしますか?
借り手の返済状況や回収結果によって、時価や返還見込額、または戻る額が投資額を下回る元本割れが生じる可能性があります。
まとめ
元本割れとは、投資商品の時価や返還見込額、または最終的に戻る金額が、当初の投資額を下回る状態を指して使われることがあります。売却前の価格下落は含み損、売却・償還等で損失が確定した場合は実現損として区別されます。
商品ごとに原因が異なるため、価格、信用、事業、為替、制度、費用など、何が時価や返還額に影響するのかを理解することが重要です。預金とは元本の扱いが違う、という整理もあわせて押さえておきましょう。
参考資料
1. 金融庁「ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください」
2. 金融庁「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」
3. 一般社団法人第二種金融商品取引業協会「貸付型ファンドに関するQ&A【第三版】」
